俺の名はStars。ちょっと(かなり)前まではブリタニアで最強だった男さ。
だが、どうやら俺の時代は終わっていたらしい。
俺は潔く冒険者をやめて隠居しようかと思っている。
兄弟たちもわかってくれるだろう。
何より俺を大切に思ってくれているかわいいやつらさ。
ん?パンの焼けるにおいがしてきた。
Prettyのやつが朝食を作っているのだろう。
どれ、朝飯でもいただきながら話をするとしよう。
Prettyは4番目の兄妹で長女。
おしとやかな性格で、俺をお兄ちゃんと慕ってくれるかわいいやつだ。
俺はダイニングに行き、声をかけた。
「おはようPretty」
「おはよう、お兄ちゃん。もうみんな起きてるわよ。お寝坊さんね」
「ふふ、俺も考えるところがあって、寝るのが遅くなってしまったんだよ」
「夜更かしは体に良くないって、あれほどいってるでしょ、さあ朝食ができてるわ。お兄ちゃんも食べて」
ここで俺の兄弟構成?を紹介しよう。
長男 Stars
二男 Darkstar
三男 Redstar
長女 Prettystar
二女 Shootingstar
この日、皆に話をしようと思っていたが、Darkのやつはどうやら早朝から毒の研究に大学?に行ったらしく不在。
Redのやつも釣りに出かけたとかで不在。
Shootingは刑務所から出たばかりなので、神殿に懺悔に行ったらしい。
最近は更生して青い名前になったが、以前に名前が赤くなるという犯罪を犯し服役していた。
仕方なく俺はPrettyにだけ先に話をすることにした。
「俺は冒険者をやめる。引退するよ」
「え?どういうこと?」
「どうもこうもないさ、もう俺もゆっくりさせてもらおうかと思ってな。お前だっていつも心配してたじゃないか。モンスターと戦うような危険な仕事はやめてって」
「・・・・・・・・」
「そんなにうれしいかい?よっぽど心配だったんだな、ははは。もう俺は危険なことはしないよ」
俺は香ばしく焼けたパンをほおばりながら話した。
「・・・・メシなんか食ってんじゃねぇよ!」
「ほ?ほえ!?どど、どうしたんだPretty。そんな言葉を使ったりして」
「あぁ?引退?ニートになる気か?」
「お、お前・・・Pre・・」
「気安く名前を呼ぶんじゃねぇよ!Darkのアニキは毒を盛れるし、Redのアニキは釣りができる。てめぇのとりえは戦闘だけだろうが!その戦闘をやめて何になる気だ?あぁ?戦闘をしないおめぇなんざ、ブリタニアじゃスライム以下の価値しかねぇんだよ!毎晩毎晩ボロボロになって帰ってくる割には稼ぎがねえ。ホント無価値な男だよ!!この脳ナシが!大金稼げねえなら土エレでもなんでも狩ってこいよ!がこの役立たたずが!」
「脳ナシ・・・役立たずってあんまりじゃないか・・・」
呆然とする俺を、上から蔑んだような目で見つめると、
「ふっ、脳ナシで役立たずで生きてる価値もない。まるでゴキブリ?」
俺の名はStars。ブリタニア最強を自負していた男だ。
だが妹にゴキブリとまで呼ばれ、俺の心は木っ端みじんに砕け散った。
その日、俺はひとこと書置きを残し家を出た。
「探さないでください」
俺の兄弟たちは素直にその言葉に従ったという。
おしまい。
いや、続くかも?
0 件のコメント:
コメントを投稿